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2006.07.03

Appleのtoday!戦略を支える徹底した秘密主義

デジモノに埋もれる日々」さんの記事「iPodの 「 today ! 」 戦略にみる、購買意欲のピーク到達過程の変遷」は非常に秀逸な記事で、いろいろと応用がききます(笑)

で、Appleがこのtoday!戦略を取れるのは徹底した秘密主義にあると言っていいでしょう。
普通、販売店には事前に情報が回っていることが多いのですが、Appleは秘密主義を貫くため、社員を含め一部の人間をのぞいて情報が漏れないようにしています。

Appleの裏情報は「Mac OS Rumors」や「Apple Insider」、日本語なら「Macお宝鑑定団」あたりに載りますが、新型機ドンピシャの画像が出回る、ということはほぼない、と言っていいでしょう。

昔は「O'Grady's PowerPage」が発表の2ヶ月前にPowerBook 1400の本体画像だけでなく、bookcoverという新フィーチャも含めてリークされたりしていましたが、今ではnanoの時は「iPod UIでフラッシュメモリ式」など、部分部分の情報は漏れてくるものの、画像が漏れることはほぼありません。
これにより、today!戦略を最大限に盛り上げています。

ただ、Appleの場合は

  1. 新製品が出る前に既存製品の在庫が少なくなる
    特にAppleStoreの納期がのびます。

  2. 1月のMacWorld EXPO SF、6月のWWDC、9月のAppleEXPOの節目のイベントで何らかの製品を発表する確率が高い

  3. Mac本体はIntelプラットフォームに移行したため、Intelのロードマップで新製品の予想がある程度可能
    Woodcrest/Conroe/Merom、新型チップセットと言った大きなモデルチェンジの場合はIntelの発表とほぼ同期する、と考えてよいでしょう。
と、いうところで、Apple製品の新型登場時期はある程度予測が可能です。
ただし、使用している部品やトレンドは予測できても、前述のiPod nanoのように予測を超えるサプライズを常に提供している点はさすが、としか言いようがありません。

しかし、Apple製品の製造・組み立ては中国、台湾といったアジア企業が担っていることが多いのですが、製造ルートから大きな情報が漏れないのは、ふしぎと言えばふしぎです。
iPodのように数が出るものを扱えるなら、ということで受け入れているのかもしれませんね。

また、today!戦略を製造面で支えるための手段として、水平分業を最大限に使っている、と言っていいでしょう。
梅田望夫・英語で読むITトレンド」のゲストブロガー川野俊充氏の記事「iPodを可能にしたAppleのデザイン至上主義」にありますが、初代iPodはPortalPlayerのリファレンスデザインを使用し、パーツのほとんどが他社からの調達になっていますが、Appleはユーザインタフェースと筐体のデザインを行い、「Appleとしてのmp3ポータブルプレーヤの提案」を短期間でスムーズに立ち上げています。

現在のiPodは初代よりも薄型化、長時間再生が可能なようにカスタム化が進んでいると思われますが、ストレージデバイスは東芝やSamsungからの調達ですし、プレーヤ部分はPortalPlayerから変わらず調達、iPodの背面ステンレスパーツは東洋理化学研究所から調達など、主要コンポーネントの調達を考えると、水平分業、アウトソースの成功例と考えてよいでしょう。

つまり、記事にもある通り

  • 作るべき製品のビジョンが明確であること
  • 自社の強みを自ら理解し、その部分では妥協しないこと
  • 短期間で立ち上げ、失敗した場合のリスクを最小限にするために水平分業を最大限に活用すること
    既存のパーツを利用することでパーツ不良在庫を最小限にできる
と、アウトソース活用の原則を忠実に守ったからこそ、デジタル携帯プレーヤの市場を握ることができた、と言えるでしょう。

ひるがえってみて、日本のアウトソースのスタイルを見ると、

  • ビジョンも含めて丸投げ
    他社に自社の生殺与奪権を握られることがどれだけ恐ろしいかわかっていない

  • 官公庁では随意契約が横行する
    初回構築時に適切な費用を払っていない。
    システム全体の思想を含めて担当者が理解していない、または理解させる体制になっていないから、初回構築時のベンダーにヤク漬けにされてしまう

  • 最初から大きなビジネスをやろうとして失敗する
    いつも後戻りができない大きな体制のプロジェクトを一発でやろうとして失敗する

と、自社の強みを活用できていない上にアウトソースをするものですから、どんどん弱体化している、と考えてよいでしょう。
アウトソースする、ということは、「自社でコントロールできるようビジョンを持つ」「必要なものを必要なときに調達できるようにする」であって、丸投げではない、ということを認識しなければならないと思います。

といったところで、プロダクトメーカーにおいて、「today!戦略」は現在の経営と情報伝達スピードを考えると戦略上必要であり、それを維持するための「秘密主義」、「自社でビジョンを持ち」、自社にない技術を短期間に立ち上げリスクを最小化するために「アウトソース」する、といった実現面での支援が必要、ということになります。
現在の情報伝達スピードで成功させるためには、まずは、「自社の強み」を見つけること、「自社のビジョンを持つ」ところからではないでしょうか。

※ 2006/07/06追記
[WSJ] 「ここまでやる」Appleの秘密主義

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